差止請求されたら…

突然、内容証明郵便が送られてきました。

Aさんは、10年前から「○▽○」という店名の飲食店を経営しています。
ある日突然、Aさんのもとに内容証明郵便が送られてきました。

書面には、Aさんが使用する「○▽○」は、
Bさんの登録商標「○▼○」と類似し、Bさんの商標権を侵害している旨及び、
今すぐに「○▽○」の使用を中止するように請求する旨が書かれていました。

Bさんの商標登録の内容を確認すると、
「○▼○」について商標登録出願をして、登録されたのは1年前です。

Aさんは「うちはもう10年も前から使用しているんだ」と怒り心頭です。
Aさんは店名を変えたくありませんし、うちの方が先に使用しているんだから、
「ズルいじゃないか、どうにかしてくれ」と、弁理士さんに相談しました。



Aさん 「うちはもう10年も前から使っているのに、相手は最近使用し始めたばかりだ。いくら商標登録してるからといって、いきなり使用中止を求めてくるなんて、常識的に考えて納得がいかない」

弁理士さん 「なるほど、お気持ちはわかります。先に使用している場合は、先使用権という権利を有している可能性があります。その場合は、相手に対抗できる可能性があります。失礼ですが、ご使用の「○▽○」という商標は、どの程度有名でしょうか?」

Aさん 「10年前から営業しているから、常連さんも多くいるし。このあたりでは有名だよ・・・」

弁理士さん 「そうですか・・・先使用権の条件としては有名であることが必要です。例えば、少なくとも2~3県にまたがる周知性が必要となります。残念ながら、お話を聞く限り、今回は先使用権の主張は難しそうですね」

Aさん 「ちょっと待ってください。有名とか有名じゃない以前に、私が長年使用しきた店名なんですよ。その店の名前が使えなくなると、看板の付け替えや、チラシ広告などの入れ替えなど手間と費用がかかってしまう。お客さんにも迷惑がかかってしまう」

弁理士さん 「確かに愛着がある店名を変更するのは抵抗があると思います・・・。しかし、原則として商標登録は早い者勝ちなのです。先に使用していた者ではなく、先に登録した者に権利が与えられます。今回、Aさんが使用されている「○▽○」とBさんの登録商標「○▼○」は似ています。また指定役務は「飲食物の提供」で同一です。となるとAさんの使用は、Bさんの商標権侵害行為となります。このまま使用し続けていると、損害賠償請求をされる恐れもありますのでご注意ください。」

Aさん 「そんな・・・」



ということでAさんは、泣く泣く慣れ親しんだ店の名前を変更することになりました。

このような事態を防ぐためにも、大切な商標は、今すぐ登録をしておきましょう。